知る人ぞ知る奥秩父の名宿、柳屋旅館とは
たらの芽の
緑に積もる雪払い
熊よけの鈴鳴らしつつ積む
奥秩父に位置する荒川柴原の山間へ迷い込むと、この歌碑とともに出迎えてくれる格式高い湯宿がある。秩父に数多くある宿の中でも一際長い歴史を有する、江戸時代末期創業の旅館“柳屋”だ。江戸時代の初頭から400年間湯治場として利用されてきた奥秩父柴原温泉の宿として、秩父事件の際には困民党の最後の会議場所となったり、秩父中津川へ訪れた平賀源内一行が宿泊していたりとその格式の高さは明白だ。宿自慢の”白美身の湯”は、単純硫黄泉を泉質とし、昔と変わらず今日も旅客を癒し続けている。そして山菜、アカシアの花の天ぷらや、鯉の洗い、イノシシ鍋など、秩父ならでは食材を使った圧巻の料理の中でも、看板は何といっても手打ち蕎麦だ。多くの蕎麦処がひしめき合う秩父市だが、ここの蕎麦は決して外せまい。
柳屋旅館が纏う英国アイウェアカルチャー
今回のスナップは、そんな旅館柳屋の潤さんとかつ子さんのお2人にお願いをした。
掛けているメガネはイギリスの1932年創業の老舗ブランド『Savile Row(サヴィル ロウ)』だ。サヴィルロウのフレームを作る工場『Algha Works(アルガ ワークス)』は50年代から70年代にかけて国民保険制度で無料配給していたメガネ製造を請け負い、その制度が廃止となってからはサヴィル ロウという名でブランド化し、現在に受け継がれ今尚イギリス国民は勿論世界の著名人達が愛用している。
ご主人潤(ジュン)さんが掛けているフレームは、あのジョン レノンが愛用していたメガネと同モデルだ。
潤さんのお茶目さも伺える、ファーストネームのイントネーションが近いという理由で昨年購入してから日に日に愛着が湧いているようだ。
またかつ子さんがかけているメガネは、なんと潤さんと“ペアルック”だ。
ペアルックといっても、玉型、サイズが同じだけで他のカスタム内容は異なる。そう、サヴィル ロウはオーダーメイドでフレームを誂えることが可能なのだ。可能というよりこれがイギリスのスタンダードとも言えるだろう。
世界に1組だけのさりげない”ペアルック“は2人の仲睦まじさを象徴していた。そしてサヴィルロウの独特の魅力といえるロールドゴールド製法による18kの輝きは、2人がこれまで守り抜いてきた、柳屋の奥深いカルチャーに溶け込んでいるようにも見えた。
Shop:blinc vase
Brand:SAVILE ROW
Model:OSRC6 45-20-145
Color:GS with chestnut
Price:¥43,450(w/tax)
そうだ、柳屋へ行こう
日帰り入浴もできるため、是非秩父を訪れた際にはお気軽にお立ち寄り頂きたい。そしてその際には、柳屋出身で著者の祖父にあたる、歌人黒沢和士雄が宮内歌会始で詠んだ歌碑にも目を向けていただき、秩父の『緑』を感じてみてはいかがだろうか。
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